アメリカの人種差別に拍車をかけるTrump Effect(トランプ効果)

 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。 ています。 

 

 今週は2本連続での更新です。この記事では、トランプ氏が既にアメリカの人種差別に与えている影響の一端を、Facebookでヒスパニック系の友人がシェアしていたツイート画像に和訳を付けてご紹介します。

 ‟こんなことを言っている奴がいました。「トランプに勝ってほしい。そうすれば女に好きなことをできる」これって怖くないですか。”

 ‟私の17歳のいとこの登校中のこと。同じクラスの白人の女の子達が彼女にこう言ったのです。「あなた今日はバスの後ろ側に乗るべきじゃないの?」”

 ‟友人から電話がありました。何者かが大学の構内にいた彼女に近づき、アフリカに帰れと叫んだそうです。始まってしまいました。”

 ‟母からメッセージがありました。とても悲しくて怖いです。”

 

 ‟今後は人に女の子が好きだと言わないでね。トランプが大統領になることでどうなるかはわからないけれど、もうあなたにとって安全なことではないと思うから。私はありのままのあなたを愛しているしあなたが女の子が好きなのも分かっているけど、あなたには生きていてほしいし安全でいてほしいの。こんなことになってしまって本当に残念です。この男が私達の大統領だなんて信じられません。”

 ‟今朝友人の車にこんなものがありました。”

 

 ‟ついにトランプが我々の大統領だ、ニガー!!!(右の絵は吊るし首にするロープの絵)”

 

 ‟近所の多くの車にこれが貼られていました。まだ24時間も経っていないのに。”

 ‟トランプ支持者にヒジャーブ(スカーフ)を脱がされそうになりました。もう冗談ではありません。すべての非白人種がターゲットです。みんな気を付けて。”

 ‟ヒジャーブを身に着けているからと地下鉄の線路に突き落とされそうになりました。どうぞ過剰反応と言ってください。”

 

 (上記コメントの元になったツイート)

 ‟ヒジャーブを着ているアメリカの奴らは過剰反応しすぎwww”

 ‟今朝妹が学校へ行って最初に耳にした言葉は、「私(僕)は白人だからこれからは何をしても良いんだ」でした。そして3人の子が妹に向ってこう言いました。「(君はもうすぐ)強制送還されるから、さようなら。」事態は悪化し、母は学校へ行き妹の退校手続きをしました。妹はずっと取り乱し泣いています。”

 ‟今日僕の姉(妹)が出勤した時、勤め先の人たちはふざけて彼女にグリーンカードの提示を求めたそうです。この思想は昨日正当化されました。”

 ‟母からメッセージが届きました。「ヒジャーブを着けないで」と。母は私達家族の中で最も信心深い人です。”

 

 ‟この選挙の結果に泣くつもりはありませんでした。しかし母が私を守るために信仰を犠牲にしようとしていることを思うと...”

 

 ツイート画像は以上です。

 

 ここでは人種差別にのみ注目しましたが、このようにトランプ氏の過激な態度や発言が社会に与えてきた影響は、今アメリカで”Trump Effect”(トランプ効果)と呼ばれ社会現象化しています。

 

 日本のメディアは内容の見えないトランプ氏の今後の政策の話ばかりして、「どうなるのでしょうか」「分かりませんね」の繰り返しですが、トランプ氏が次期大統領に決まった影響は既に広がっています。大統領としての政策よりもその思想が社会に与える影響こそ、トランプ大統領誕生の恐怖ではないかと思うのです。

 

 アメリカは私が初めて人種差別を経験した国ではありますが、それでも高校と大学と楽しい時間を過ごし、今でも会いたい人たちが大勢いる大好きな国です。私がいた当時も潜在的に差別意識があったことを良しとはしませんが、それでもこれまではそういった意識が具体的な言動として表に出ることはあまりなく、私もアメリカに住んでいた頃は平和な生活を送っていました。

 

 そんな沢山の良い思い出のある国が、私達アジア人を含む非白人種にとって安全と言い切れない国になってしまうことが、何よりも悲しく心が痛みます。

 

 トランプ氏の勝利が過激な思想を持つ白人種のモラルの枷を外してしまったことは確かだと思います。差別を完全になくすのは現時点では夢物語のようにも思える話ですが、せめて差別が常識だった時代への逆戻りはしないで欲しいと切に願います。

 

 今週は2本続けて更新しましたので、来週の更新はお休みします。次は明るい話題にできるといいなと思っています。ではまた2週間後。

 

 

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