【私が通訳になるまで32】通訳学校と通訳科3(難解な教材と事前準備)

 

 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。

 

 今回も引き続き、サイマルアカデミー通訳者養成コース通訳科(現・通訳3&4)を振り返ります。通訳科になって最も大きく変わったのは、教材の難度の高さと事前準備の大変さでした。

 

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 教材については入門科(現・通訳2)でも後半は生教材を使用していましたが、入門科では内容が一般的で比較的話が理解しやすい教材が多かったのに対し、通訳科に入ってからはそれぞれの教材のテーマはより高度な専門知識を要するものとなり、スピーカーの使う語彙や話し方の癖まで、一気に難解さが増しました。

 

 事前に配布された単語リストに対訳を書き込み軽くネット検索をする程度ではとても準備が足りず、より理解を深めるために入手可能であればスピーチが行われた頃にスピーカーが出した著書を購入して読むこともありました。著書の出版がスピーチと同時期であれば、当時の考え方や話題に出すトピックに共通するものが多いと予想したためです。

 

 もちろん知識量や理解力は一朝一夕で伸びるものではないので、事前にスピーカーの著書を読んだからと言って付け焼刃の知識では当然限界はありました。しかし教材のスピーチの中で著書にあったものと同じ話や表現が出てくると、例えほんの一行分であったとしても、その部分だけは少し余裕と自信をを持って理解と記憶と通訳ができたので、その一瞬のためだけでも勉強をしてよかったと思えました。

 

 訓練でそこまでするのかと思われるかもしれませんが、私にとってはサイマルアカデミーでの授業は毎回が本番でした。訓練で納得のいく結果を出せずして、現場で自信を持って通訳することはできないと考えていました。そして訓練当時から試行錯誤を繰り返し自分なりに作り上げた通訳の準備の仕方は、実際に現場に出るようになってからとても役立っています。また訓練時代は一度読んだだけでは理解が追い付かず知識としても活かしきれなかったことも、何度も繰り返して行くうちに短時間に一度で吸収できる知識量が増え、それに伴い理解力も上がり、事前に頭に入れた知識ををスムーズに訳に反映させることもできるようになって行きました。継続は力なり。英語学習も通訳訓練も、やはりこの一言に尽きます。

 

 こう書くと私は毎日わき目もふらずに勉強に没頭し、辛抱強く地道に通訳訓練を続けていたように思われるかもしれません。しかし現実は、通訳科への進級以降それまでとは比較にならないほど自分の実力不足に悩み、遅々として成長しない自分に苛立ち落ち込む日々でした。

 

 入門科6クラス→通訳科2クラスの難関を突破してきたクラスメイト達は誰もが知識量、経験値、通訳技術のどれも申し分なく高く、授業で指名されても少しも動じずに整った訳を紡ぎ出す彼女たちに嫉妬したこともありましたし、自分のパフォーマンスと比較して激しく落ち込むことなどほぼ毎回でした。

 

 ただ今にして思えばそれは単なる被害妄想で、私の訳も悪い時ばかりではなかっただろうし、クラスメイトの訳も毎回全員が完璧だったわけではないのだと思います。自信が無い時というのはどこの家の芝生も青く見えてしまうものです。当時の自分と話ができるのならそう言ってあげたいと思いますが、あの心理状態では恐らく聞く耳を持たないでしょう。これもある種の成長痛と考えるべきなのかもしれません。

 

 最後に事前準備に関して、準備科(現・通訳1)でお世話になった先生の言葉をご紹介します。通訳の現場で、事前準備で得た知識に助けられる度に、また資料の読み込みが甘くヒヤッととする度に、よく思い出す言葉です。自分への戒めとして、そしてこのブログを読んでくださる通訳者志望の方々へ向けて、ここに書かせていただきます。

 

 「現場で事前の勉強がほとんど役に立たないことなんてよくあることです。事前準備は2割役に立てば良い方。でもその2割に救われるのです。」

 

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【About Erika】

職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)

現住所:東京

留学歴:3年(アメリカ)

特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)

趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り

楽しみ:正月の箱根駅伝、2か月に1度の大相撲観戦(テレビ)、年に数回の柔道国際・国内大会テレビ観戦、年に数回のブロードウェイミュージカル日本公演、不定期の札幌旅行