こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
シリーズで書いてきた「私が通訳になるまで」35話目にしてようやく同時通訳科に辿り着きました。長かったー(笑)。シリーズ終了までまだあと数話ありますが、とても感慨深いです。残りも有益な情報を提供できる内容になるよう頑張って書いて行きますので、どうぞよろしくお願いします。
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辛うじて一発合格で同時通訳科(現会議通訳I)に進級した私でしたが、夢に見ていた小松先生の授業を受けることはすぐには叶いませんでした。この理由は、当時同時通訳科は1学期あたり前期と後期それぞれ1クラスずつのみの開講で、進級したタイミングで前期に回って来るクラスを受講するシステムとなっており、私が進級した学期には小松先生は後期の担当だったためです。そのため私は同時通訳科では1年間別の先生方のクラスを受講し、1回目の卒業試験で不合格となり再履修となった最後の半年間のみ、小松先生の授業を受けました。
さて、サイマルアカデミー通訳者養成コース同時通訳科前期(現会議通訳I)はまず、逐次通訳技術の総仕上げから始まりました。準備科から通訳科まで基礎訓練の上に積み上げてきた逐次通訳の技術を完成させた上で同時通訳の訓練を始めるためです。
総仕上げと言っても、「ある一定量の話を聞いて訳す」ということに変わりはありません。しかしながらこの仕上げ用の数回がそれまでと決定的に違ったのは、話を聞く時間の長さでした。
その長さ、何と4分超。
あまりの長さに先生が驚いて「え?長すぎない?」と途中で止めようとしたほどです(笑)。サイマルアカデミーの親会社であり大手通訳エージェントであるサイマルインターナショナルの専属通訳者として活躍されていた先生でさえも長いと感じたのですから、やはり4分間を超える逐次通訳は異常なのだということが分かります。
私もこれまでの仕事で最長6分間程度の逐次通訳をしましたが、できなくはなくてもそのあと集中力が切れやすくなってしまうためあまりやりたいことではありません。それだけ聞いた話を記憶し(リテンション)再現する(リプロダクション)&訳すという作業は負荷の大きい作業です。
とはいえこれは訓練なので、そんな無茶ぶりも普通にあります。そして私自身実際に現場で5分間を超える通訳をする状況に複数回直面してきたことを思えば、これもまた現場に出るために必要な訓練だったのだと思います。
またこれは、それまでの訓練の成果を生徒に実感させるための演習だとも感じました。事実この4分間の逐次通訳の演習は、私を含む受講生の誰もが苦しみながらも先生から高評価を受けたパフォーマンスができていたと記憶しています。最初は10秒間ですら辛かったリテンション技術が直近の1~2年間(人によってはもっと)でどれだけ伸びて身に付いているのかを実感させて貰えて自分の努力の積み重ねに感動させて貰えた、ある種のご褒美演習でした。メモ帳何枚にもおよんだ話をメモを頼りに思い出しながら訳し進め、最後まで訳し切った時には嬉しくて体が震えました。
最初の数回の授業でこれまでの逐次通訳訓練を総ざらいし、いよいよ同時通訳訓練...かと思いきや、その前にもうひとつ不思議な特殊訓練が用意されていました。次回はその特殊訓練とようやく始まる同時通訳演習についてお話しします。
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シリーズつづき:【私が通訳になるまで36】通訳学校と同時通訳科2(特殊訓練と同時通訳訓練)
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