こんにちは、英語同時通訳者でオンライン英語・通訳講師の山下えりかです。
昨年からのコロナ禍の影響で以前にも増して家にいることが増え、空き時間には夫と一緒に英語の海外ドラマを観る機会が増えました。英語のドラマを観ることは代表的な英語学習法のひとつですが、今更ながらその効果を実感しています。一般的には初心者向けの学習法として勧められることが多い印象ですが、上級者でも、プロの通訳者にも、効果のある学習法です。
そこで今回は、私の経験に基づく英語学習におけるドラマの活用法と、この1年半ほどで私が観ておすすめだと思ったドラマ(英語中級~上級者向け)を紹介します。
✔ ドラマの魅力である「連続性」
英語学習素材としてのドラマの魅力は、その連続性です。映画は1本2時間程度でストーリーが完結しますが、ドラマはひとつのテーマが1話完結型であったとしても、大きな設定と主要キャストは固定されているため、同じ枠の中で新しいものをたくさん観ることができます。
✔ 主要キャストが固定されている利点
映画でもドラマでも、複数の主要キャストが存在します。ドラマでは話が長い分、主要キャストの数が映画よりも多いのが一般的です。
主要キャストが多いということは、それだけ色々な人の英語を聞くことができるということです。また同じキャストで話が続いて行くので、繰り返し観ているうちに多様な英語に耳を慣らすことができます。
つまり最初は英語が聞き取れなくても、同じ人たちの英語をずっと聞くことになるため話が進んで行くうちに聞き取れるものが増えて行きます。そしてドラマの設定や前提となる情報が知識として定着してくれば、話の流れが分かりやすくなる分、聞き取れる情報も増えて行きます。
✔ 「量」の重要性
英語学習の一環としてドラマを考えると、重要なのは量を観ることです。この「量の重要性」こそ、私がこの1年半で実感しているものです。数をこなし大量のインプットをすることは、確実にアウトプットに生きてきます。
具体的にどんな変化があったかと言うと、「知っていたけど使えなかった」レベルの表現や単語が会話や通訳の際に自然と口から出てくるようになりましたし、話の理解のスピードが速くなったことで、展開の速い話や複数の人の発言が重なる会議でも余裕を持って話を聞いて通訳できるようになりました。また頭が英語モードになりやすくなり、英語で考え事をする頻度も増えていると感じています。
✔ 字幕付きで観てもOK
英語学習として映画やドラマを観るというと、「字幕なしで観なければ」と思い込んでいる人が多いようですが、私はそうは思いません。設定や前提が分かるようになるまで、また話の展開のスピードに慣れるまでは日本語字幕をつけていても良いと思います。大切なのは長く続けることなので、最初からハードルを上げすぎてしまうのはおすすめしません。
そこで私がおすすめする順番はこうです。
1.設定や話の流れが分かるようになるまでは日本語字幕
2.日本語字幕付きでは物足りなくなったら英語字幕
3.英語字幕も不要と感じるようになったら字幕なし
ちなみに我が家では、夫は英語は全く分からないため、いつも日本語字幕をつけて観ています。それでも十分勉強になります。例えば文字数の関係で重要な情報が字幕になっていない箇所があれば「今はこう言ったんだよ」と夫に口頭で伝えますし、字幕を見ながら「私ならこう訳すな」と考えるのも良い勉強です。
それでは最後に、私のおすすめのドラマをいくつか紹介します。
✔ CHUCK
LAが舞台のアクション・コメディです。様々な人種や異なる社会的立場の人たちが主要キャストとして登場していて、バラエティに富んだ英語に触れることができます。日常の会話が多いのもこの作品の特徴です。西海岸の英語はあまり早口でなく聞き取りやすいので、英語学習(中級~)におすすめです。
参考リンク:CHUCK (Amazon Prime)
※有料コンテンツ(2021年7月現在)
✔ The West Wing(邦題:ザ・ホワイトハウス)
ホワイトハウスが舞台の政治ドラマです。少し古い作品ですが、話のテンポがとにかく速く、もちろんセリフ回しも速いため、リスニングと読解のスピード強化におすすめです。英語レベルは上級者向け。
参考リンク:The West Wing (Amazon Prime)
※有料コンテンツ(2021年7月現在)
✔ ELEMENTARY
ニューヨークが舞台の現代版シャーロック・ホームズです。舞台はアメリカでワトソン博士もアメリカ人女性という設定ですが、ホームズはイギリス人という設定のままなので、英語と米語の両方を聞くことができる作品です。こちらも話の展開・台詞ともにハイスピードなので最初は字幕付きで観るのがおすすめです。英語レベルは上級者向け。
参考リンク:ELEMENTARY (Amazon Prime)
※Amazon Prime特典コンテンツ(2021年7月現在)
✔ PREACHER
上記3作品とは少し毛色の異なる作品です。舞台はテキサスやルイジアナなど、アメリカ南部がメイン。また主要なキャラクターにアイルランド人もいて、アメリカ南部英語だけでなくアイルランド英語にも触れられます。
内容はオカルト・コメディで、血が苦手な人にはおすすめしません。ちなみに私もオカルトやホラーは苦手ですが、高校留学先がテキサスだったことから南部訛りの英語に愛着があるため、内容はともかく好きな英語に触れたい時に観る作品です。
難しい表現はあまり出てこないので英語レベルとしては中級者向けです。アメリカ南部の英語に興味のある方はぜひ。
参考リンク:PREACHER (Amazon Prime)
※Amazon Prime特典コンテンツ(2021年7月現在)
✔ おわりに
上記作品はあくまでも私のおすすめの一例です。先述の通りドラマはたくさん観ること、そして継続して観ることが大切ですから、自分が好きな作品、興味を持てる作品を探し、ぜひ長く楽しみながら学習を続けてください。
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【About Erika】
職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)
現住所:札幌市
留学歴:3年(アメリカ)
特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)
趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り