無知の罪 - ハンセン病家族訴訟の原告勝訴確定に寄せて

 

 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。

  

 先月、2019年6月28日、熊本地方裁判所において、ハンセン病家族訴訟について原告勝訴の判決が出されました。そして昨日の7月9日に、国の控訴断念により原告の勝訴が確定しました。今回はハンセン病元患者の家族が受けた差別についてお話しします。

 

ハンセン病 同時通訳 山下えりか

 

 この「ハンセン病家族訴訟」とは、ハンセン病元患者の家族が「ハンセン病患者の家族と言うだけで」受けた凄惨な差別とそれに伴う人権侵害について、国に対し賠償と謝罪を求めた裁判です。

 

 先月掲載した記事『ハンセン病と英語の先生』の中で触れた通り、ハンセン病の元患者の方々は世間の誤った認識により、凄まじい人権侵害を受けられました。その差別は患者本人に留まらず、患者が名ばかりの「療養所」に強制収容された後、家に残された患者の家族にも及びました。(ハンセン病に関する歴史と国の政策、そして人権侵害の内容については、『ハンセン病と英語の先生』をご参照ください。)

 

 家族の受けた被害については、「ハンセン病患者の家族と言うだけで」勤め先を解雇された人、婚約が破談になった人、生涯結婚できなかった人、学校でいじめに遭った人、そのためにまともに義務教育も受けられなかった人、このような事が重なり日々の食事にも事欠く生活を余儀なくされた人等々、私が本やその他メディアで見聞きしたものだけでもこれだけのものがあります。

 

 また先月の判決後に国の控訴断念を訴える方が、SNSでこのような写真をシェアされていました。

 

 

 どんな言葉や映像よりも、この方の受けた人権侵害を物語る手紙だと思いました。教育の機会を奪われると言うことは、その先にある様々な選択肢を奪われ、人生を奪われると言うことです。絶対にあってはならないことです。

 

 またこの件を扱ったニュースで聞いた原告のひとりの女性の言葉がここ数日耳に残って離れません。

 

「生きていて楽しいと思ったことなど無かった。」

 

 過去の印象にとらわれ未だにハンセン病を差別する人達も存在していますし、この病気について何も知らない人にも知って欲しいので、改めて書いておきます。

 

 ハンセン病は既に日本では過去の病気です。この病気の原因となる「らい菌」は感染力が非常に弱く、栄養状態に不安の無い現代の日本で発症する人はほぼいません。また治療法も確立されていて、完治する病気です。現代ではインフルエンザの方がよほど怖い病気なのです。

 

 ハンセン病の元患者やその家族に対するいわれ無き差別は、国の誤った政策によるものが大きいことは確かです。しかしながら、与えられた情報を盲目的に信じ、人権を無視した隔離政策に疑問を持つこともせず、何の非もない患者や家族を「当たり前に差別して良い対象」としてきた一般市民の責任もまたそれと同じくらい大きいのです。

 

 この方々の受けた差別は、人々の無知が招いたものです。

 

 無知は罪です。

 

 実際にこれだけの人々が人生を奪われているのですから、「知らなかったから」では済まされません。そしてこの「無知が招く差別」は、ハンセン病の件に関わらず、あらゆるものに繋がっています。

 

 ハンセン病に対する差別をなくすためだけでなく、今身近にある大小様々な差別に気づきそれをなくして行くためにも、まずは「知ること」または「知ろうとすること」から始めることが大切です。

 

 この記事がその「知るきっかけ」になれることを心から願っています。

 

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【About Erika】

職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)

現住所:東京

留学歴:3年(アメリカ)

特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)

趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り

楽しみ:正月の箱根駅伝、2か月に1度の大相撲観戦(テレビ)、年に数回の柔道国際・国内大会テレビ観戦、年に数回のブロードウェイミュージカル日本公演、不定期の札幌旅行