小泉進次郎環境大臣の持論と英語と「セクシー発言」を私が支持する理由

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 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。 

 

 少し前に小泉進次郎環境大臣の国連での英語のスピーチとそれに関連した記者会見での「セクシー発言」が話題になりました。日本国内では否定的な受け止め方が圧倒的多数でしたが、私は「セクシー発言」自体には何も問題を感じませんでしたし、大臣の英語でのパフォーマンスに好感を抱きました。今回は小泉大臣の持論と発言内容を考察し、私がそれらを好意的にとらえた理由をお話しします。

 

 

 外交の一端を担う立場の方としてはまだ多少以上に英語に不自由さを感じさせる小泉大臣ですが、それでも通訳を介さずに自ら英語で話される背景には、大臣の持論があるそうです。

 

「通訳を通してでは勝負にならない」

 

 私は話題になった国連での一件の前後で初めてこの言葉を耳にしたのですが、思わずテレビに向って大きく頷きました。

 

 小泉大臣のこの感覚、おそらくご自身がこれまでの経験で得られたのであろう「肌感覚」は、正しいです。通訳者として仕事をしている私がこんなことを言うのは意外に思われるかもしれませんが、これは否定しようのない事実です。

 

 私は通訳者として仕事をする中で、幾度となく日本人クライアントたちの「自分の言葉で伝えられないことへのもどかしさ」を感じてきました。それと同時に、そこに同席する外国人たちの「通訳を介することでテンポよく話を進められないことへの苛立ち」も体感してきました。

 

 この結果、双方の会話に対するテンションが下がってしまい、「通訳者の方ばかり見て話をする」「相手が話している時は上の空」「通訳者の発する訳しか聞かない」という状況に繋がり、完全な悪循環に陥ってしまうこともあります。(もちろん元々双方乗り気でない話の場合もありますが...)

 

 いつもそこにある双方共通の願いは、「英語で話せらた良いのに」であり、多くの場合通訳者はその羨望と嫉妬の入り混じった無言のプレッシャーに晒されることになります。実際、「山下さんのように英語を話せるようになるにはどうしたら良いですか」と仕事の後で(主に既に仕事で英語を使われている方から)質問を受けることもよくあります。

 

 このほぼ言葉にされることのない「英語で話せたら良いのに」を居心地が悪くなるほど感じてきたことが、私が社会人に英語を教えたいと思ったきっかけのひとつであり、一人でも多くの人に自由に英語を使えるようになって欲しいという私の願いの根源でもあります。

 

 「できるのならば英語で話す」は相手との距離を縮めることにもつながるだけでなく、相手に対する配慮にもなります。大臣に就任したばかりで各方面と公私ともに繋がりを作る上でも、小泉大臣が英語で海外の方々とお話しになるその姿勢は間違っていないと私は考えていて、それが小泉大臣の「通訳を使わず自分で話す」に好感を抱いている理由です。

 

 「国益のかかった場では無理をせずに通訳を使うべき」という意見は確かにその通りです。しかしながらやはり、相手と同じ言語で直接やり取りするメリットは計り知れません。できるのならやるべきです。

 

 日本は、戦後復興から高度経済成長を経て世界屈指の経済大国に成長しました。「日本人なら英語を話さなくても通訳を介してでも相手が話を聞きたがる」という時代は確かにありました。しかしそれが今後も続いて行く保証はどこにもありませんし、その時代が終わる足音が聞こえてきています。

 

 その中で、次の時代を意識して動き始めた小泉大臣のその姿勢と行動力は、賞賛に値します。これは古い慣習で凝り固まった価値観を持つ古い時代の政治家が未だ大多数を占める政界に対して、小泉大臣が起こした「革命」だと私は感じています。

 

 とは言え、現在の小泉大臣の英語力には不安が残ります。残念ながら「小泉大臣の英語完璧!あっぱれ!」とはまだ言えません。

 

 下の動画で英語講師のDrew Badger氏が指摘しているように、大臣はこの短い発言の中でも細かい文法のミスがありました。(ちなみに彼が指摘している”YOU gotta be sexy”の箇所は、私にはちゃんと”It gotta be sexy”に聞こえます。日本人の耳だからなのでしょうか。)

 

 

 簡単に言うと、”It gotta be cool.”は、正確には”It has got to be cool.”を短くしたもので、”It’s gotta be cool.”が正解であり、小泉大臣は”s”を飛ばしているため不正確な英語になっている、ということです。

 

 公の場で、それも国益がかかった場面で英語を使うなら、文法は正確でなければいけません。この点は大臣の努力が必要です。

 

 この動画でBadger氏は文法の重要性を次のように説明しています。

 

ナチュラルな会話表現を使うのは良いけれど、まずは文法的に正確であることが大切。そうでなければ正しく聞こえません。例えるならそれは、散らかっていて汚い家の中に素敵な家具があるようなものです。

 

正確な英語を使いましょう。そしてそれを習慣にしましょう。それから面白いフレーズなどを使うようにすれば、「ネイティブみたいだ」って言われるようになります。

 

 私も全く同感です。「英語を話すのに文法はいらない」なんて、ネイティブの講師だって言っていません。

 

”It’s better to be grammatically correct, FIRST!”

(まずは文法的に正確であれ!)

 

 またこの動画では”sexy”の語法についても解説されています。「この場合の”sexy”は”interesting(興味深い)”や”attractive(魅力的な)”の意味であり、ビジネスシーンでも使われる会話表現であり、特に問題は無い」というのがBadger氏の見解です。私も最初にこの発言を聞いた時に同じ感想だったので、日本のメディアの騒ぎっぷりには気持ち悪さを感じました。もちろん、”sexy”の意図を問われて答えられなかった小泉大臣も、もっと勉強が必要だとも思いましたが。

 

 まだまだ課題は残りますが、小泉大臣にはぜひもっとしっかり勉強をして、どんどん英語で、ご自身の言葉で、様々なことを発信して行って欲しいと思います。

 

 それから最後に、今回のこの一件で発音やらワードチョイスやら大臣の英語についてあれこれ騒いでいる人たちにひと言。

 

 人の英語に構う暇があったら自分の英語を磨きましょう。誰かの英語を批判したところで、あなたの英語力は少しも上がりません。日本人は自分以外の日本人の英語を気にしすぎです。そんなことをしている時間と労力で、新しい単語のひとつでも覚えた方がずっと生産的です。

 

 メディアも「日本人が英語を話すこと」にいちいち騒ぎすぎです。同じ熱量をもって報道すべきことは他に沢山あるはずです。

 

 「日本人が英語で話すこと」が全く話題にならないだけでなく、ごく当たり前のことになる未来のため、オンライン講座に限らず私は私にできることで貢献して行きます。日本人が身体の一部のように英語を自由に使える未来の実現を真剣に考えています。今後このブログで発信して行く内容にも、ご注目いただけると幸いです。

  

 

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【About Erika】

職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)

現住所:東京

留学歴:3年(アメリカ)

特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)

趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り

楽しみ:正月の箱根駅伝、2か月に1度の大相撲観戦(テレビ)、年に数回の柔道国際・国内大会テレビ観戦、年に数回のブロードウェイミュージカル日本公演、不定期の札幌旅行