![コミュニケーション・ファシリテーター コミュニケーションの専門家 通訳 仕事 なくなる 可能性 個人 価値 創生 山下えりか](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=630x10000:format=jpg/path/sa6b8355eb38a591b/image/i6b756e98d449ac88/version/1705294150/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC-%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AE%B6-%E9%80%9A%E8%A8%B3-%E4%BB%95%E4%BA%8B-%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B-%E5%8F%AF%E8%83%BD%E6%80%A7-%E5%80%8B%E4%BA%BA-%E4%BE%A1%E5%80%A4-%E5%89%B5%E7%94%9F-%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E3%81%88%E3%82%8A%E3%81%8B.jpg)
冒頭から「コミュニケーション・ファシリテーターって何?山下さんて通訳者でしょ?」という声が聞こえてきそうですが、それについてはこれから説明するので少々お待ちください。
✔ 2024年の目標
2024年最初の記事ということで、今年の目標からいきたいと思います。
私の2024年の目標は、
「通訳者が高度なスキルを持つスペシャリストであることを私自ら証明すること」です。
✔ 「ほんやくコンニャク」「時短ツール」からの脱却
2023年は生成AI元年と呼ばれるほど生成AIが進化した年でした。AIによって様々なことが変化し、その波は通訳業界にも押し寄せています。この点については下記リンクの記事で詳しくお話ししています。
- 【AI通訳】現役通訳者がポケトーク同時通訳を使ってみた感想&デモ動画◆精度と可能性を考える
- 【AI通訳】ChatGPTが優秀な通訳になる魔法の言葉と新機能(プロンプト&音声会話の設定方法)
- AI自動翻訳時代の通訳需要と必要スキル(上)
AIの進化は社会に大きな恩恵をもたらす一方で、その進化により従来の価値が下がる仕事やサービスが出てきています。通訳も例外ではありません。
通訳の仕事は戦後の黎明期以降、様々な理由から価値の低下を経験してきました。中でも大きな理由は通訳者の数が増えたこと、また通訳者が必要とされる場面が増え通訳者の利用が一般化したことです。またある程度英語ができる人が増えたことで、通訳者に求められる仕事の質が上がった一方、それに対する対価は低下してきました。
そして今では通訳、特に同時通訳は、コミュニケーションツールというよりはむしろ「時短ツール」として扱われることがほとんどです。また社会が通訳者に求めるのはいつの時代も「ほんやくコンニャク」のようなスキルであり、それをまさに今AI通訳・翻訳が実現しようとしています。
このようにAI時代は通訳者には受難の時代と言えます。しかし同時に、AIの進化により新しい仕事やサービスが生まれるのも事実です。つまり今こそが、通訳者の価値を再認識し再構築するチャンスでもあるのです。
✔ コミュニケーション・ファシリテーターとは
さて、冒頭で突然登場した「コミュニケーション・ファシリテーター」についてお話ししましょう。
「ファシリテーター」の基になっている動詞「ファシリテート / facilitate」には、「○○を促す」や「○○を手助けする」また「○○を円滑に進める」という意味があります。
コミュニケーション・ファシリテーターとは、通訳の技術や経験を含むコミュニケーションの専門知識を活かし、円滑なコミュニケーションを実現するための専門家です。
通訳者と言えばこれまであくまでも部外者としてその場に参加し、英語を日本語に、日本語を英語に訳すことだけを求められる立場でした。そしてその存在は「そこにいるけれどいない人」であり、通訳者自身が発言することは長らくタブーとされてきました。
しかしこれまでに幾度となく通訳の現場を経験し、「ここをこうした方がもっとスムーズになる」や「この人の理解があと一歩深まれば先に進める」といった場面を数多く見て来ました。時には日本語から日本語への通訳もやらせてもらえればいいのにと感じることも多くありました。
このような「一歩踏み込んだコミュニケーションの交通整理」はやりたいと思ってもなかなかできずにいたものでした。しかしながらここ数年間で個人でお受けする仕事が増えたことで自由度が高まり、クライアントの了承を得ながら少しずつコミュニケーションへの介入を深めてきました。
そしてそれが良い結果に繋がっているという評価もいただいていて、私自身も大きな手応えを感じているため、今年からは従来の「通訳者」ではなく新しく「コミュニケーション・ファシリテーター」と自らの職種を定義しようと決意いたしました。
コミュニケーション・ファシリテーターは、従来のように「そこにいるけれどいない人」ではなく、その場のど真ん中に明確に存在し、通訳者の仕事もしつつ、その場全体を見渡しながらコミュニケーションの問題を解決する立場なのです。
✔ コミュニケーション・ファシリテーターを名乗る理由
私がコミュニケーション・ファシリテーターと名乗るのにはいくつかの理由があります。
ひとつ目は前述の通り、今私がしている仕事が従来の「通訳」の枠を超えているため、「通訳」以外の呼称が欲しかったということです。
ふたつ目の理由は、AI時代に新しい仕事を作りたいということ。例えば誰かに「コミュニケーション・ファシリテーターです」と自己紹介したら、恐らく100%の人が「それって何?」と聞き返されます。そこから会話が生まれます。会話の中から理解が深まり、少しずつ周囲に浸透させることができます。
私が「通訳者」を名乗る中で抱えてきたジレンマのひとつが、通訳という仕事が正しく理解されていないということでした。コミュニケーション・ファシリテーターは新しい仕事です。そのイメージをいちから構築できるのが楽しみでもあります。
三つ目の理由は、自らの価値の創生です。先日の記事『AI時代は可能性の時代◆個の力と自分の価値の創生』でも書きましたが、AIによるエンパワメント(個人や集団が力を得ること)は個人でできることを大幅に増やしてくれます。これからの時代を自分の好きなことや得意を活かして生きていくのなら、「自分の価値は自分で決める」くらいの大胆さが必要だと感じています。
長くなったので一旦ここで切ります。コミュニケーション・ファシリテーターのスキルや仕事内容といった具体的な話は次回の記事で解説します。
✔ おわりに
地震や航空機事故と、大変なニュースで始まった2024年ですが、少しでも良い年にできるよう前を向き、自らの価値を再構築し新しい価値を創生できる年にしたいと思っています。
皆様、2024年も当ブログをよろしくお願いいたします。
次の記事:通訳の新しいカタチ◆コミュニケーション・ファシリテーターのスキルと仕事内容
前の記事:AI元年まとめ&2024年の展望◆今年の英単語2023 - Generative AI(生成AI)
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