初回の今回は、私の英語指導への想いの原点となったある出来事についてお話しします。
今から約5年前、食品展示会でブース付の通訳をした時のことでした。忘れもしない最終日の開場直後。私がクライアント(アメリカ人)と雑談をしているとそこに、 20代前半と思われるスーツ姿の男性がやって来ました。ブースに並んでいた商品に興味を示していたようだったので、 「どうぞご試食ください」と笑顔で接客。
すると…
彼は私の顔をじっと見つめ、弱々しい声でひとこと。
男性「あの…ここにいたら英語できるようになるんですか?」
私「えっ?英語…ですか?」
驚いて改めて男性の顔を見ると、その表情には悲壮感すら滲み、いかにも「切羽詰った」顔をしていました。 私が返答に困っていると、男性はハッとした表情になり、
男性「あ、ごめんなさい。元々英語できるんですか?」
私「あ、はい。通訳なので…」
男性「あ、そうですよね。すみませんでした。」
男性はそう言うとサッと視線をそらし、足早に去って行きました。 あまりに唐突なことで動揺してしまい何もできませんでしたが、 彼が英語でとても辛い思いをしていたのは想像に難くありません。せめて呼び止めて名刺を渡し、もっと話を聞いてあげれば良かったと後悔しました。 この短いやり取りと男性の疲れ切った顔は小さな棘となり、ずっと私の胸に残っています。
この一件以降、彼のような人の力になりたいとずっと思っていました。そしてあの日の後悔から、英語で本気で私に助けを求めてくれる人にはどんな状況であれNOと言わないと決めました。
このコラムの【私の英語歴】でも書いている通り、私の英語は一朝一夕で簡単に身に付けたものではありません。英語環境のある家庭で育ったわけでもなく、挫折も味わい時には涙を流し、苦労して努力して自分の一部にしてきたものです。そんな英語素人からの英語攻略法を知っている私にだからこそできる教え方があると、それできっと誰かに希望を与えられると、強く信じています。
同時通訳者山下恵理香による英語指導の詳細はこちらのページをご覧ください。
このコラムは当サイト併設の「同時通訳者Erikaのブログ」に掲載している英語学習関連記事を再編集したものです。同ブログでは英語学習以外のトピックの記事も公開しています。併せてご利用くださいませ。